感想 ミュージカル『るろうに剣心 京都編』
昨日、ミュージカルのるろうに剣心を見てきた。
生でミュージカルを見ることは初めてなので、レポートしていきたい。
会場は、IHIステージアラウンド東京。
観客席が360度回転することで有名なステージだ。
この会場を事前に調べたとき、ある疑惑がうかんだ。
「推しの子でアクアとあかねがデートの時にいった場所ってここじゃね?」
調べたら漫画の会場は架空の場所だが、モチーフとなっているのは、IHIステージアラウンド東京という説が濃厚だそうだ。
やはりか。
お値段は14,500円。
正直、いい値段するなあとは思った。
しかし、一回とれば、以後は録画を流すことができる映画とは違う。
講演のたびに俳優が生演技をして、セットも作らなければならない。仕方ないとも思う。
主演は小池徹平、志々雄真実役に黒羽麻璃央、脚本・演出は小池修一郎。
俳優にうとい私でも、小池徹平の名前はさすがに知っていた。
ミュージカルの当日、開場30分前に現地についた。
最寄り駅はゆりかもめの市場前駅。豊洲市場のすぐそばだ。
ついたのはよいが、開場時間にならなければ、ステージ内に入ることはできない。
周りにも時間をつぶせるような場所はなかった。
晴れた初夏で、風が気持ちいい夕暮れ。ベンチにかけていれば快適だった。
ただ、冬や真夏、雨の日などはつらいだろう。
次に行く機会があったら、開場10分前につくようにしたい。
30分前は早すぎた。
開場時間と同時にステージに入った。
ステージは映画館を一回り大きくしたようなサイズで、大きすぎず小さすぎだった。
前から19列目なのでオペラグラスを片手にスタンバイ。
開場から30分してから上映開始。
いよいよ本番が始まった。
今回は続編の京都編。
おおむねストーリーは、原作通り進んだ。
映画版より準拠度が高かった。
相違点としては以下があげられる。
・張が、薄刃乃太刀を使わず、ずっと連刃刀で戦う
・夷腕坊・蝙也は葵屋での戦闘後にアジトに逃亡する
・斎藤・蒼紫・左之助は志々雄と戦わず、葵屋から逃げ帰った志々雄一派の兵を倒す役になった
・方治が、政府に出頭せず、志々雄の戦い直後に自害する
逆にいえば、上記以外は、細かい点を含めて原作準拠だった。
原作を愛する私としては良かった。
良かった点を述べていきたい。
・キャラがたっている十本刀
十本刀が個々人それぞれ、しっかり描かれている。
ミュージカルなので、それぞれが一人ひとり歌うシーンがある。また、各自が戦うシーンもある。
十本刀に推しがいる人は、実写化を楽しめるだろう。
・声が低い男・鎌足
前述の十本刀でも特に良かったのが鎌足。
男優の奥野壮が演じる。
見た目は原作同様女性であるが、声が非常に低い。
原作以上に容姿は女、性別は男というのが分かりやすくなっている。
原作は、性別が男というのは設定くらいのものだとしか思えなかった。
しかし、低い声で志々雄に愛されない辛さをなげかれると、「せやな・・・」と納得してしまう。
鎌足が重いテーマを背負ったキャラだとあらためて気づいた。
重いだけではない。
裾をめくって、男性器を披露するシーンは笑いを誘った。
私も笑ってしまった。
・ハイテンション方治
原作では怜悧な参謀だが、こっちではやたらハイテンション。
笑顔で歌って踊る。
十本刀のメンバーをイキイキと観客の皆様に紹介する。
妙にコミカル。
「役立たずが。だから女は嫌なんだ!!」というポリコレにひっかかりまくるセリフも、ハイテンション方治がいうとどこか面白い。
みていて楽しい気持ちになってきた。
以上、良かった点を述べた。
だが、上記のような細かい点よりも、真に良いのはミュージカルという特徴だろう。
ミュージカルよりも映画の方が、映像のサイズは大きい。
だが、実際の人間が自分の前で演じて、戦う姿を見ると、生の生命力を感じて迫力が違う。
セットも実際に組んであって、没入感が出てくる。
歌って踊るミュージカル特有の行為も流れをぶったぎるかと思ったが、思っているよりも自然だった。
ミュージカルとしての面白さがわかった。
次に残念だった点を書いていきたい。
・志々雄の強さが伝わらない
以前、記事で書いた通り、私は志々雄が大好きである。
特に剣心、斎藤、蒼紫、左之助を一人でしりぞける圧倒的な強さがすばらしい。
しかし、前述の通り、斎藤・蒼紫・左之助は、志々雄とは戦わなかった。
結果、2回の戦いを経て傷だらけの剣心に、由美のアシスト付きでも負けることになった。原作の圧倒的な強さが伝わらなかった。
・唐突な展開
仕方ないかもしれないが、単行本10巻分を、3時間の演劇にまとめたので、省略された場所が多い。
煉獄は出て10秒で沈没した。
省略が多くても、構成のうまさか、ストーリー自体の把握は難しくない。
だが、唐突と感じる場面は多かった。
特に宗次郎について、剣心との戦いで突然発狂した。
「あなたが正しいというならなぜあの時、僕を守ってくれなかったんですか?」という、宗次郎の核心をつく、剣心とのやり取りもなかった。
原作未読の人は、宗次郎が発狂した意味がわかるのかなあと思った。
細かい箇所で不満点はあるが、面白い作品だった。
ミュージカルや2.5次元に興味のある人はこれを機会に見にいっても良いと思う。